
チラシPDF
500年先まで残る本
現在私たちが手にしている本の多くは、明治時代に日本に普及した西洋の製本術をベースにしてつくられた「洋装本」です。しかし、西洋における伝統的な手づくりの製本装幀本について、日本ではあまり知られていないのが現状です。すべての工程を手作業で行う一点ものの本づくりには高い技術を要し、また1冊の本をつくるのに3か月から1年もの時間がかかりますが、たしかな技術によってつくられた本は頑丈で美しく、500年の保存がきくと言われています。
本展では、ドイツに生まれ、晩年を宮城県気仙沼市で過ごした製本装幀家ティニ・ミウラのしごとを通して、その知られざる世界を紹介します。

世界的な製本装幀家として知られるティニ・ミウラ(1940-2025)は、ドイツ北部のキール市で生まれ、ヨーロッパ各地で伝統的な革装本の製本装幀技法を学びました。世界の製本装幀コンクールで数々の賞を獲得し注目され、伝統を継承した職人技と現代的デザイン感覚を融合させた芸術性の高い限定版特装本の装幀家として知られるようになります。1963年からはノーベル賞の賞状制作にも携わり、1965年に物理学賞を受賞した朝永振一郎、1968年に文学賞を受賞した川端康成の賞状も制作しました。
1971年、スイスで開催されたポール・ボネ賞コンクールで最優秀賞を受賞し、製本装幀の第一人者として国際的な評価を確立します。以降、図書館、美術館や博物館、愛書家などから依頼された稀覯本、愛蔵本の装幀のほか、イギリスやスウェーデンの王室の公式文書の製本装幀も手がけてきました。また、歌手の谷村新司のデビュー25周年に際し、ティニが自選歌詞集の製本装幀を手がけたことも話題になりました。
1970年代にヨーロッパ留学中だった三浦永年と出会い、結婚。ヨーロッパ、アメリカ、東京に工房や教育組織を構えながら制作と後進の育成を行ってきましたが、2018年、パートナーである三浦の故郷宮城県に夫妻で「宮城芸術文化館」を設立し、ここを終の拠点と定め、2025年11月に亡くなる直前まで創作活動を続けました。
本展では、製本装幀家ティニ・ミウラが制作・デザインした革装本約70点を展示します。本がデジタル化に向かう今、長い歴史をもつ「製本」と「装幀」の視点から、知の容器として現実空間に存在してきた「本」の歴史、そしてその意義や魅力について、再考する機会となれば幸いです。
※本の見返しなどに使われるマーブル・ペーパーの制作者・蒐集家でもある三浦永年のコレクションもあわせて展示します。
◆展覧会概要
特別展 美しい本 製本装幀家ティニ・ミウラのしごと
会期=2026年4月25日(土)~6月28日(日)
会場=仙台文学館 企画展示室
開館時間=9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日=毎週月曜日(5月4日は開館)、4月30日(木)、5月7日(木)、5月28日(木)、6月25日(木)
観覧料=一般810円、高校生460円、小・中学生230円
※各種割引あり ※小・中学生の方は「どこでもパスポート」等の持参で無料
主催=仙台文学館
特別協力=一般社団法人宮城芸術文化館、三浦永年
企画協力=三上満良
後援=朝日新聞仙台総局、河北新報社、毎日新聞仙台支局、読売新聞東北総局、共同通信社仙台支社、時事通信社仙台支社、tbc東北放送、仙台放送、ミヤギテレビ、khb東日本放送、DateFM、NHK仙台放送局、三陸新報社
◆関連イベント
※いずれもご参加には特別展観覧券または観覧券の半券のご提示が必要です。
※いただいた個人情報は下記イベントのご連絡以外に使用しません。
(1)トークイベント「ティニ・ミウラの製本装幀芸術の世界」
ティニ・ミウラのパートナーであり、マーブル・ペーパーの制作者・蒐集家でもある三浦永年氏をお迎えし、西洋の製本装幀本について、そしてティニの製本装幀家としての生涯とその作品についてお話を伺います。
日時:4月25日(土)13:30~14:30(受付13:00~)
会場:2階 講習室
ゲスト:三浦永年(マーブル・ペーパー制作者、蒐集家)
聞き手:三上満良(美術史研究者、元宮城県美術館副館長、本展アドバイザー)
定員:70名(先着)
申込方法:4月8日(水)10:00より受付開始
➀ウェブフォームから申込
②電話で申込(仙台文学館まで:022-271-3020)
(2)手製本ワークショップ
お持ちの文庫本を解体し、一点ものの上製本(ハードカバー)に仕立て直します。製本の入り口を体験するワークショップです。
日時:5月16日(土)午前の部 9:30〜12:30 / 午後の部 13:30〜16:30
会場:2階 講習室
講師:mari(製本雨読/手製本作家)
定員:各回6名
対象:中学生以上
参加費:1500円
持ち物:文庫本を1冊ご持参ください。
申込方法:4月21日(火)締切(必着) ※申込が定員を超えた場合は抽選となります。
➀ウェブフォームから申込
②往復はがきで申込【イベント名・参加希望回(午前の部・午後の部)・住所・氏名(ふりがな)・年齢・電話番号】をご記入の上、仙台文学館にお送りください(〒981-0902 仙台市青葉区北根2-7-1)
(3)学芸員による展示解説
日時:5月17日(日)、5月27日(水)、6月20日(土)、いずれも13:30~
※申込不要・直接3階の企画展示室へ
※ご参加には特別展観覧券が必要です
◆プロフィール

ティニ・ミウラ Tini Miura(1940-2025)
1940年ドイツ・キール生まれ。製本装幀家。1975年に来日し「アトリエ・ミウラ」(東京)を設立。1993年、米国製本装幀大学を創立し、学長に就任。2018年、宮城県登米市にて「宮城芸術文化館」を開館(2023年に気仙沼市に移転)し、同館館長をつとめた。
著書に『私の製本装幀芸術の世界』(1980年、求龍堂)、『美しい本』(1983年、求龍堂)、『世界製本装幀界の巨匠 ティニ・ミウラの世界 1980-1990』(1990年、教育書籍)、『世界の巨匠 ティニ・ミウラの手造り豪華本 1990-2015』(2016年、勉誠出版)など。
また、アール・ヌーヴォー期のポスターの蒐集家としても知られ、宮城県美術館などに約700点を寄贈した三浦コレクションがある。
◆作品紹介

川端康成 ノーベル文学賞賞状(1968年制作、複製)

D.H.ローレンス著『鳥、獣、花』Birds, Beasts, and Flowers(クレセット・プレス、1930年刊)製本装幀:2014年 本を保護するスリップケース(1)とシミーズ(2)付き。遊び紙はティニ・ミウラによるオーローグラフの装飾紙(3)。

ジョン・ジェームズ・オーデュボンの超大型版鳥類図鑑『アメリカの鳥』The Birds of America(1827–1838年刊)復刻版を、ティニ・ミウラがデザイン。(アベヴィル出版社・オーデュボン鳥類学会、1986年)
仙台文学館
〒981-0902 仙台市青葉区北根2-7-1 TEL 022-271-3020 FAX 022-271-3044